正しいボランティア先の選び方

ボランティアを始めようとする全ての方に知って欲しいこと

クリーンなイメージに騙されないで

アフリカの貧しい人たちのために井戸を掘る。地震が起きた被災地で炊き出しをする。塾に行けない子供達のために無料で学習支援する。性暴力の被害者に寄り添う。悩める若者の相談に乗る。

 

こんな話をテレビやネットで見て、「ああ、この荒んだ日本の社会で、こんなに心温まる活動をする人たちが居るんだ。なんて素晴らしい」と思ったあなた。かなり危険です。

 

もし、一度もあったこともない人が素晴らしく見えるとしたら、あなたは相当に人を見る目がありません。夢見がちで、人間の本質というものをきちんと考えたことがないのだと思います。

 

ショックですか?純粋に信じてしまった人ほどショックを受けるでしょう。私は仕事や支援活動を通じて様々な人たちとお会いしてきましたが、もしあなたがショックを受けたのであれば、なおのことこの先を読み進める必要があります。

 

あなたは人の役に立って、人に尊敬されたいのでしょう。またそれを既に実現している「素晴らしい」人の近くにいて、そうした人に少しでも近づきたいのでしょう。

 

でもハッキリ言います。目を覚まして下さい。どんな風に美しく演出されていても、あなたと同じ人間なんですよ?自分の感じる苦痛、恐怖、面倒さ、身分の安定、家族、お金を失う苦しみ、全てを克服して、自分以外の誰かのためだけに活動を続ける。あなた、そんなこと出来ますか?

 

あなたが出来ないことやりたくないこと、それは大抵の場合、誰でも同じなんです。

 

私はテレビで祭り上げられた人たちの正体をいやと言うほど見てきました。確かに奇妙な魅力やカリスマ性はありました。行動力や決断力、構想力などもあります。しかしその正体は、普通の人よりもずっと我欲が強く、目立ちたがりやで、他人の痛みに鈍感な人たちです。

 

そんな「素晴らしい」人たちはこの世にはほとんどいないんです。少なくとも私は一人も出会ったことはありません。地球上にはたくさんの人間がいますから、それはそれは色んな人たちがいるでしょう。だから中にはそんな「素晴らしい」人もいるかもしれません。

 

でも、そんな「素晴らしい」人が、一々自分をテレビやネットで宣伝するでしょうか?体裁としては記者や他人が紹介する形になっているかも知れません。しかし取材を行なうには必ず本人の同意が必要です。本気で自らの慈善活動に没頭していれば相当多忙で、取材を受け入れることはかなりの手間や時間を取られます。慈善活動を最優先にしていたらメディアの取材なんて決して受け入れるはずがないのです。

 

私自身、そうした「有名人」が活動現場で取材される所を何度も見てきました。現場で必死に働くスタッフやボランティアを横目に、当人は嬉々として現場を紹介し、インタビューに答え、作業中のスタッフを中断させて活動内容を説明させたりしていました。

 

支援活動が滞りなく、支援を必要としている人達に行き渡ることなんか、当人にとってはどうでも良いのです。自分が目立ち、注目され、尊敬され、崇められる。何をしても「きっと~様の言うことだから意味がある、決して間違ってない」と正当化され、そして寄付金やボランティアが集まり、更なる影響力と名声を勝ち取るためならボランティアや支援を必要とする人たちまで犠牲にしていく。

 

そうでない人も居るのかも知れません。しかしテレビやネットで騒がれているような人たち、積極的に発言をするような人たちは100%そうでした。

 

クリーンで素晴らしいと思える印象を抱くのは、他でもない、当人達がそう見えるようにお金と手間を使って宣伝しているからです。そういう美談を求める記者やメディアと組んで成果を誇張したり、ほとんどやらせに近いエピソードを作ったり。

 

それでもまだそういう「素晴らしい」人たちを信じますか?